ダイニングキッチンに移って、典子の手料理を頂きながら清和の好きな料理の話や!諒一と離れていた間の 少年時代の話を 楽しそうに話して聞かせてくれる典子の話を聞きながら 諒一は本当に楽しそうに微笑んでいた。料理の話では 諒一が、典子に清和の好物の作り方を習いに来るような話しにまで発展している始末だった。

また、少年時代の話には清和も思うところは 在ったようだが 諒一の楽しそうな笑顔に わざわざ水を差すこともないだろうと 口を噤んだのだ・・・

そんな時、ポッリと、典子が、

「清和くん、どうして諒一さんは、結婚指輪していないの〜?」

「大切な、奥さん、人に攫われても知らないわよ!」

「それとも 恋女房に結婚指輪一つ買ってあげられないくらい 私の育てた清和くんは、甲斐性がなかったのかしら〜?」

典子の、楽しそうな発言に清和は、苦虫を噛み潰した様な表情になりそうな所を自慢のポーカーフェイスで乗り切った・・・

前に諒一にも、

『女房! 女房!と言って沢山のお金はくれるけど・・・僕、まだ結婚指輪貰ってないよ!』と言われた事があったのだ・・・

その上、典子にまで言われたのである・・・帰りには何としても婚指輪を買って帰ろうと、心に誓った清和がいた。

食事をしながら 暫し楽しい家族団欒の時間を味わった 二人は、再会を約束して清和の実家を後にしたのである。

 

清和は帰る途中で、 街の一等地に本店ビルを構える 老舗の高級宝石店に車を向かわせた。

「いらっしゃいませ。」

店に足を踏み入れると 落ち着いたテノールが聞こえてきた。

「今日は どのような品を お探しですか?」

声を掛けて来た 販売員は、落ち着いた栗色のサラリとした髪を掻き揚げ、キリッとした眉、二重の瞳は 見る者を惑わす様に妖しく輝き、すっと通った鼻梁に、引き締まった口元、誰もが好意を懐かずには いられない様な容貌をして、長身でバランスの取れたプロポーションは完璧! シックなアルマーニのスーツを見事に着こなし 宝飾店の販売員らしく タイタックやカフスは控え目ながらも堂々とした輝きで彼を一層美しく引き立てている。胸元には『結城』とネームプレートが付けられていた。

周りを見回しても販売員は、全員男性。それも全員がブランド物のスーツを見事に着こなし 女性客を満足させるだけの接客術を身に付けた者達なのだろう! 

その中でも 今、目の前に居る結城と言う男が 一際目を惹く存在なのは、誰が見ても明らかである。

「お客様 本日の お探しの品は どのような品でしょう」

諒一の顔を見て 結城の顔色が変わった。眼鏡の奥の美貌を一瞬の間に見抜き そして自分の心臓が激しく鼓動を打ち出すのを感じていた。結城はこの時 初めての一目惚れと言う感覚を経験していた。そんな結城の心情を 清和は見逃さなかった。

「お客様、本日の お探しの品は どのような品でしょう」

結城は 再び声を掛けたが 諒一は店内に圧倒され ただ唖然と立ち尽くし 問い掛けに答える様子はない。そんな諒一の背後から

「結婚指輪を買いに来たんだ!」清和が 苛立たしげに答えた。

「そうですか、結婚指輪をお探しですか それでは3階のフロアーにご案内致します。」

諒一の手を さりげなく取ると 恭しく腰を抱いて優雅にエスコートして店内を移動して行く 後ろに居る清和の姿は眼中に無い様子で! そんな結城と諒一の後姿を剣呑な眼光で見据えて、清和も後に続いたのだった。

「お客様の結婚指輪でしょうか? お客様の様な素敵な方と結婚出来る人は さぞやお幸せでしょうね。出来る事なら 今からでも立候補したいくらいです。」

「え―― 何に立候補するの?」

先程からの話を 上の空で聞いていた諒一が やっと答えた言葉がこれでは 清和の心は休まる時がない・・・ 

「あなたの結婚相手にですよ。」甘く囁き

「こんな綺麗な指には どのようなリングでも お似合いになるでしょう。このリング等如何でしょう」

諒一の指に 良く似合いそうな繊細な細工を施したリングを スマートな動作で指に嵌めている。何が自分の身に起こっているのか 現状を呑み込めないまま諒一はされるがままになっている。

「これ等、本当に良くお似合いですよ。」諒一の指に意味有り気に触れている結城の姿を見据える清和の眉間の皺は より一層深く刻まれていた。

忍耐の限界に差し掛かった清和は諒一に

「先生、どのリングがお好みです。」

「えー 何・・・?」

「先生の好きなモノを買いましょう!」

「清和くん そんなの僕、いらないよ。」

「いいえ、先生には 如何しても結婚指輪を選んで頂きます。所有の証としての結婚指輪は必要です!」

「所有の証としてのリングですか? 良いですね 僕が差し上げましょうか あ・な・た・に」

諒一の耳元で 結城が小声で囁いた。『何故この人 僕の耳元で話すのだろう! 僕の耳が悪いとでも思って 気を遣ってくれているのかな? 僕の耳は 正常なのになァ〜。』と、とんでもなく的外れな事を考えている諒一である。

だが 清和は結城の囁きを聞き逃しはしなかった。内心 夜叉と化しているのを隠して、側に居た販売員に何点か見繕って貰い。

「もったいないよー」

「節約は大切なんだよ!」

「誰が、僕なんかを 攫いに来るのー 清和くん」

訴え続ける諒一を 押し切って! 清和は無理矢理!結婚指輪を選ばせた。

『誰が、攫いに来るだって! 直ぐ側で先生を狙っている奴がいるじゃないか! 何故それがこの人には解らないんだ!』 苛立ちながら心中で答えていた。

結婚指輪に その場で永遠の愛の証である刻印を施してもらった。だが一方で世間に知らせる訳にも行かない結婚で!所有の証としての結婚指輪を指に嵌めて出勤する訳にも行かない諒一の為に、何時も身に着けていて欲しいとの願いからペンダントとして首にかけていられる様にとチェーンを買い求めた清和だった。

 その時になって結城は、清和の存在に意識を向けたが、歳は自分よりも下で、職業はホストと見た。この相手からなら この人を奪い取る事が出来ると内心で思っていた。結城が清和の値踏みをしている間に、奥の方から 綺麗に包装されたリングとチェーンを支配人自ら持って来た事に懸念を抱きながらも 結城は諒一の略奪手段を思い廻らせていた。

そんな結城を睨み付けながら 清和は綺麗に包装された商品を鷲掴むと 空いている方の手で諒一を肩に担ぎ上げると 足音も荒く店内を出て行こうとしている。結城は何と声を掛けようかと瞬時している時、後ろから支配人が

「あの方は 『眞鍋の昇龍』だ お前がどう足掻いても太刀打ち出来る相手じゃない!」と一言告げた。

相手の素性を知って・・・顔面蒼白 唖然と立ち尽くす結城を威嚇しながら清和は 諒一を車に押し込めると素早く乗り込み車を発進させた。

 

無事に自宅に帰り

玄関を入って直ぐのリビングで諒一を後ろから抱きしめた清和は 買って来たリングにキスを落として チェーンを通し神妙な顔付きで、諒一の首にかけた。

「先生、結婚指輪も買いました!

これで 先生は俺の女房ですよ!

異論は、ありませんね」

耳もとで甘いバリトンで囁かれて・・・・

「結婚指輪なんて・・・買ってくれなくても良いのに〜!

そんなモノ貰わなくても・・・僕は、清和くんのモノだよ!

誰が、僕なんか、攫いに来るの! そんな心配いらないのに!」

諒一は、清和に告げながら 指輪交換の積もりか 諒一も清和の胸元にリングのペンダントを 厳かに付けてあげている。

清和は黙ってリングを付けてもらいながらも 内心で『まだ こんな事言っているのか!誰が、攫いに来るだって! 今まで狙われていた事に気付いていないのか! この人は・・・』と 再び呆れ返る事しか出来なかった。

清和は 諒一を横に抱きかかえて!

「さぁ〜、先生・・・今夜は初夜ですよ!」

囁きながら ベッドルームへ 諒一を運び込んだ。

優しくベッドの上に降ろしながら、だが清和は 辛そうに 言葉を綴った!

「先生、俺を捨てようとしただろう?」

「先生、俺から逃げる事は 赦さない!」

心からの悲痛な叫びに 諒一は・・・

「清和くんを、捨てるなんて事 考えた事ないよ!」

「まして清和くんから、僕が逃げ出す事なんてありえないよ!」

諒一は真剣に答えていた。 

「でも、オフクロに『 近いうちに、本当のお嫁さんを 紹介してくれますよ』 と言ってたじゃないか〜!」

「本当の嫁さんって何だ!」

「俺は、先生しかいらない! 俺は、先生しか欲しくないんだ! なのに・・・先生は俺から逃げようと考えていたんだ!」

それは、眞鍋組を取り仕切る次期組長ではなく・・・

年相応の 幼さの残る 橘高清和の心からの叫びだった!

「違うよ! 清和くん聞いて! 僕はもう清和くん無しでは、生きていけないんだよ! 今までの人生を どんなに過ごして来たかも解からないくらい 清和くんとの生活が楽しくて!楽しくて!」

「この、生活を捨てて生きていく事なんて・・・僕には出来ないんだ!」

「だから、あの時は・・・」

そこまで言って 言葉をのみこんだ諒一に

「あの時は・・・なに?」

優しく、清和は先を促がした。

「う〜ん、あの時は、僕が清和くんの隣にいては、いけないんだ〜と思ったんだ〜!」

「でも・・・離れるのも嫌だったんだ!」

「だって清和くん無しでは、僕はもう生きていけないから・・・」

「だから、この命さえなければ良いのにと思ったんだよ!」

「そうすれば、清和くんは可愛い女性を 奥さんにするだろうって! 京子さんみたいな綺麗な人をね!」

「僕には 清和くんの幸せが第一だから・・・ だから、あのまま東京湾に・・・飛び込む積りだったんだ! 清和くんと 過ごした日々は短かったけど・・・それでも、本当に僕は幸せだったから! だから清和くんと離れて生きていかなきゃならないんなら死ぬしかないかな?と思ったんだよ! まぁ〜、僕が東京湾に沈むのが 少し遅れただけかな?とも思ったし・・・」

ポツリ ポツリと話す 諒一を 見つめながら・・・

清和は心の中で

『俺を 捨てて逃げ出すのなら見つけ出して連れ戻す事が出来る!

でも、その命を絶たれてしまったら・・・言い知れぬ恐怖感を清和は覚えていた そして この大切な人が 本当に無事でよかった〜!』

安堵の気持ちを込めて、諒一を抱きしめながら・・・

二度と、先生にあんな辛そうな顔はさせない!

東京湾に、沈むなんて事は言わせない!

俺が、全部受け止めて、先生を幸せにしてやるんだ!心に誓う清和がそこにいた。 

清和の唇が 諒一の顔にそっと触れながら甘いバリトンで

「先生 今夜は 初夜ですよ。 いいですね?」

「うん・・・ いいよ。でも 初夜って言うのかな〜?」

怪訝な表情をしている諒一を 無視して 清和は淡々と 自分の嫉妬心を露にした。

「初夜で いいんですよ! 今夜、先生は 俺にお仕置きされるんだから!」と

言った清和の言葉に

「お仕置き〜? そんなの される覚えないよ!」

「何故 僕が押し置き なんかされなくちゃならないの?」
「先生の この身体は、俺のものだ。誰にも触らせない!」

「先生の心も身体も! 俺、唯一人のモノだ!」

「そうだよ!僕の全ては 清和くんのモノだよ!」と

答えた 諒一に 帰ってきた清和の言葉は 信じられないモノだった!

「今日 この身体を 俺以外の 男に触らせただろ!」

清和は諒一の身体を消毒するかのように両手で撫で回し始めた。特に両手と腰の辺りを重点的に触っていたかと思うと 今度は諒一の 頬に付いた 汚れを忌々しげに 手で拭う様な素振りをしながら

「今日 ここで俺以外の 男の唇を 受け止めただろ!」

と、言いながら 嫉妬心も露に 諒一の頬に キスを 落としている清和がいた。

清和の言いたい事が やっと解かった諒一だったが・・・

「チョット 待って! 清和くん・・・あれは・・・」

清和が言っているのは、今日訪れた宝石店での販売員と清和の実家で養父の正宗が取った行動の事だ! しかも 諒一の記憶も 儘ならない間の話なので そんな理由で 責められるのは いかな諒一としても避けたかった!

「だって あれは 店員さんと橘高さんが!勝手に・・・」

「勝手であろうと!誰であろうと!触らせる事は赦さない! 俺以外の男を この身体に触れさせたのは先生だ!それも俺の目の前で!」

苛立たしげに 清和は吐き捨てた!

「今夜は たっぷり! お仕置きしてやるよ先生! 自分が 誰のモノか 身体で思い知るといい!」

インテリヤクザの 仮面を脱ぎ捨て 極道の本性を露にした清和が そこに居た。

その言葉通りに 乱暴に 着ていたスーツを 剥ぎ取られて 自分が締めていたネクタイで 両手を後ろで一つに縛られて 美しい裸体を曝けだしている諒一に

「先生 とてもいい眺めだな!」

諒一の身体を 舐める様に見つめていた 清和が 呟いた。

「清和くん こんなのやめて! お願い! 手を解いて!」

清和に 訴え続けるが・・・

「今夜は お仕置きだと 言った筈だ! 先生の言う事は聞けない!」

横たわっている 諒一の 胸の飾りを指先で弄びながら 嫌がる諒一の足を無理矢理大きく開かせ 自らの身体を 滑り込ませた。 清和の 目の前には 諒一の 普段は目にする事もない 場所が露になっている! 観られているという羞恥心に苛まれている諒一は・・・

「やっ・・・そんな、そんなとこ・・・見ないで・・・!」

身体を 捩って懇願するが 清和は歯牙にもかけず 男性器を口に含み 巧みな口淫で 諒一を 翻弄しだした。 

「ふっ・・・・・ いやぁ・・・・」

「や・・・やめて・・・ お お願い・・・清和くん・・・」

頭では 抵抗していても・・・素直な諒一の身体は 清和の口淫に答え出していた・・・それでも 股間にある清和の頭を どかせようと 諒一は躍起になっているが 両手が自由にならない状態では どうしようもなかった・・・

「清和・・く・・ん・・・ は・放して・・・」

上擦った声を 発する自分を 恥じながら 足をバタつかせて清和の行為を 止めようとするが! 清和は 気にする様子もなくければ止める様子も 全くない。 煽るだけ 煽って男性器を 解放すると 今度は 身体の最奥に狙いを変え 秘部を舐めだした清和に

「どうして・・・そんな・・・そんなところを・・・汚い・・・やっ・・・やめて・・・」

身体の中に 生暖かい舌が差し込まれて 諒一は悲鳴を上げた

「それは・・・・それだけは・・・やめ・・・て・・・」

何時もなら 諒一が嫌がれば引いてくれる清和だが、嫉妬心でケダモノと化している 清和は 執拗に濡らしながら秘部を攻め立てた。 尻丘を抱え上げ 秘部を こじ開けようと激しく舌を這わせ 秘部を舐める音が 静かなベッドルームにピチャピチャピチャピチャ・・・・と卑猥に響いていた。清和を受け入れる事には 何の戸惑いも無い諒一が 唯一拒むのがこの行為なのだ。 だから 普段ならローションを使って 諒一の嫌がることは 極力避けていた清和だが・・・

「清和・・・くん・・・止めて そこは舐める所じゃない〜」

頭では抵抗しながらも身体は清和の行為に溺れ腰を揺すっている・・・その行為に誘われるように・・・

「もっとだ! もっと舐めたいんだ!」

荒々しく清和は言った!

「ふっ・・・ふ・・・んっ せい・・清和・・・く・ん・・嫌だ・・・」

「先生!そんなに嫌か!」

「そんな事・・・しな・・しないで〜 汚いよ・・・」

涙ながらに訴えている諒一に

「先生は、全て綺麗だ!」

「清和・・・くん・・・お・おね・お願い・・・ もっ・・・う・・・」

「今夜は お仕置きだと言った筈だ!」

「簡単にはイカセない! イキたけりゃ先生が 俺の上に乗るんだな!」

その言葉に 諒一は 我を忘れ両手を縛られた 不自由な身体を起こし清和の身体に

縋り付くと口を使って 清和のスラックスのフロントを必死に開こうと試みているが 上手くホックを外せない。必死にホックと格闘している諒一を見詰めながら

「ホックを外して欲しいのか 先生!手伝ってやるよ」と言うと 清和は自らのスラックスのホックを諒一の目の前で外してやった。

それを待っていたかのように 諒一は今度はジッパーと格闘しだし 艶かしい唇でジッパーを咥えてジィ―――ッと下ろし始めた。そんな諒一の姿を目の当たりにして己が欲情している事に清和は気付いていた。

諒一はやっとの事で中から取り出した 清和の逞しい雄の証を 躊躇う事無く口に含み 清和の雄の証に拙い行為で 舌を絡ませ始めたのだ。

清和は 行為よりも 諒一が自分のモノを口にしている姿を目の前にして さらに欲情して 己を一層ケダモノへと変貌させた。 

拙い行為を 無理やり止めさせると 強引に諒一の身体を持ち上げ膝の上に抱えてあげ・・・

「先生 入れてくれよ!」と、辛そうに 訴え 清和は 長い指を秘部に捻じ込ませて グチャグチャグチャグチャ・・・・・と音が聞こえるくらい 長い指を器用に使い中を掻き回し諒一を一層激しく攻め立ててた。浅ましくも腰を揺らして喘いでいる諒一に目を細めながら・・・

「綺麗だ!」と 

呟いたかと思うと 清和はいきなり腰を掴んで逞しく反り立った己の雄の証の上に 秘部を合わすと一気に奥まで貫いたのだ。

自分の身体の重みも加わり いつも以上の圧迫感に

「あぁ・・・い・・・やぁ・・・・」

諒一は 声にならない悲鳴を上げている それでも ケダモノと化している清和は下から縦横無尽に攻め立てた。

己の欲望を 持て余すかのような 激しさで突き上げ、さらに 前への巧みな手淫で諒一を攻め続けた・・・  

「あぁ・・・んっ・・・ん・・・・んっ」

「もう・・・ ダメ・・・い・・や・・・ぁ〜」

「いいぜ!・・・イッテも・・・・」と 呟いた清和は 激しいピストン運動を開始しさせた。その激しさに諒一は揺す振られ翻弄されながらも 自ら腰を振って清和に応えている 清和も普段の、上品な諒一では聞く事が出来ない様な妖艶な声に 導かれて己の欲望を 諒一の最奥に迸らせた!

同時に 諒一も絶頂を迎え清和の腹部を濡らしていた。

 

満足そうな表情を浮かべている清和の顔を見た諒一は、逞しい 清和の胸元に 崩れ落ちた。

そして、暖かな大きな手に抱き締められて 幸せそうな笑みを浮かべたかと思った瞬間に自らの意識を手放していた・・・

 

清和は 腕の中に抱きしめたままで 両手の戒めを解いてやり 痣となっている両手首に 優しいキスを 落とし

 

「すまない!」

「・・・・・・・・」

 

その言葉に対する 諒一の答えは無い!

しかし 幸せそうに微笑み 清和の腕の中で意識を手放した諒一に 清和の行為を責める言葉は出ないだろう・・・

 

そっと諒一の 首で輝いているリングに 触れながら・・・

 

『二度と 悲しい思いはさせない!』

 

『命なんか 要らないとは 言わせない!』

 

『ただ 先生! 俺の側で笑っていてくれ!』

 

『俺より先に 死ぬ事は 赦さない!』

 

それが俺の! 

それだけが俺の願いだ!

 

諒一の 髪を優しく梳きながら・・・

清和は 静かに語っていた。

 

誰も聞く人の居ない 己の誓いを!

愛して已まない大切な人に・・・

 

もしも、諒一に答える事が出来たらなら・・・

 

「清和くん 僕の年齢!知っているでしょう?」

「同じ年齢まで生きたとしても 僕の方が、十年も先に死ぬ事になるんだよ!」

「僕が、先に死ぬのは 当たり前の事なんだよ!」

チョット浮世離れした思考回路の持ち主は 子供に 話すように、優しく語りかけたであろう・・・

 

だがその人は 

 

安心できる腕の中で、

初めて手にした愛情につつまれ・・・ 

何時 気付くとも言えない深い眠りの中を 彷徨っていた・・・

自分の命よりも大切な人に抱きしめられて・・・

 

清和の思いを 聞く事もなく・・・・

清和も また 聞かせるつもりの無い永遠の誓いを!  


END



ここまで読んで頂いて感謝です〜☆

この続きは、『Wedding 総集編vol.1』に収録しています








Wedding ring