其の言葉はベッドの中で・・・・聞かせて



此処の所続いていた雨が止んで、初夏の爽やかな感じを想わせる様な天気である。  



まるで、彼の人の様な感じがする・・・・・
岩城は、眩しげに空を見上げた雲の隙間から覗く太陽に・・・。
想いを馳せた。






此の所仕事が忙しく、家に帰れなくって現場に詰めていた岩城は、日にちの感覚が無くなっていた。

暫しの休憩時間に清水から、明日から、二日間の休みが取れた事を告げられた。

岩城は、「はい、ありがとう御座います」と礼を述べて頭を下げると、清水から、

「良かったですね、間に合いますね」と云われて岩城は首を傾げて、不思議そに清水に目線を向けた。

「うふふ、お忘れですか?・・・大切な方の・・・」と導くように云われても中々気が付かない岩城であった。

余りにも精神的に過酷な仕事内容で、役に濱って居た為にまだ切り替えが旨く出来ていなのだろう事が伺える。

岩城は、真面目で頑固で繊細で疵付きやすいだから仕事に出かける時はがっちりとスーツを着る。

仕事に厳しく、自分を限界まで高め役をこなして行くが脆い部分も有る事を清水と、彼の人だけが知っている。

そんな岩城の性格を清水は暖かく見守り、時には厳しく助言をしながら、

岩城を此処まで押し上げて来た1人である。

此れからもそれは変わる事無く続けらて行く事だろうと。







仕事が終わり、駐車場まで来た時やっと、一息附けた様に見上げた空だった。

先ほど休憩室で云われた清水の言葉を思い出していた。

「お疲れ様でした。寄られる所が在れば・・・・お送りいたしますから、遠慮なく云ってくださいね」

「えっ?・・・」と振り返る岩城に、清水は優しい笑顔でもう一度繰り返した。

岩城は、「はい・・では銀座までお願いします」と答え車に乗り込んだ。

バックシートに凭れ、車窓から流れる光景を見みるとはなしにただ眼を向けながらふっと思い出していた。

岩城はこの仕事が佳境に入る約一ヶ月前に頼んでいた物を受け取りに行くのだった。

何時も自分の誕生日には想いを熨せて貰うから尚更それに答えたいと想う岩城なのである。

岩城は今回も悩みながら、其れを頼んでいのだった。





静かに入り口のガラス扉が開くと店員達が頭を下げながら、

「いらっしゃいませ」と声が掛る。

「お待ちしておりました、ご注文のお品は出来上がっていますからこちらに」と案内される岩城である。


「こちらの度もの最新鋭のデザイナーが手掛けさせて頂きました、如何でしょうか?」と差し出された。

其れを見るなり、イメージ以上なので嬉しく想った。

「ありがとう御座いました。素敵ですね」

綺麗にラッピングされた小箱を大切に胸のポケットに仕舞う。

出口まで見送られた岩城は照れくささを隠してもう一度礼を述べて後にした。







岩城は自室に入りラフな服に着替えて、スーツから取り出した箱を持って階下へのリビングへと行く。

香藤はまだ帰って居ないので、夕飯の準備に掛った。

冷蔵庫を適当に漁り、ワインーを入れ、裏口に置いてある籠から、ジャガイモ、玉葱を数個を持ってきた。

テーブルにワイングラス等を並べていく。

もう直ぐ帰ってくるだろう香藤に、凝った料理は出来ないが少しでもと彼の為に・・・・・。






「唯今・・・岩城さん」と疲れた様子も無く岩城にじゃれつく香藤には眼に見えない大きな尻尾と耳がピコピコ

して見える岩城である。

「おかえり、香藤」

「ねえ、好い匂いしてるね。ビーフシチュー?」

「ああ、お前の様に、色んな物は出来ないから・・・」

「嬉しいよ、岩城さんの手料理なんて、超久し振りだから、楽しみだよ」と云いながら、岩城の唇を軽く奪い取る。

「バカ、こんな事位で・・・」

「俺の気持ちだよ」と岩城をからかう香藤に岩城も自分の照れくささを判っていて、仕掛けてくる香藤が可愛い

と想う岩城である。





ワイングラスに注がれたワインを手にグラスをカチンとあわせて岩城からの、

「香藤、誕生日おめでとう。」

「うん、ありがとう。効して岩城さんに祝って貰えるのが一番嬉しいから」

「それから、これ」とポケットから取り出した綺麗にラッピングされた箱を渡す。

「今、開けていい?」と嬉しそうにリボンを解き、箱の中身を取り出す。

青いケースに入ってペンダントとリング、シンプル形であるがオーダーメイドと解る物であった。

露草の葉をイメージしたシルバーに幾つかの宝石が着いていた。

「綺麗だね、この石黄色で・・・それとこれは、何の石だろう・・・」と首を傾げている。

「その黄色いのがサンストーンで白いのがムーンストーンと色が変わるのがアレキサンドライトだ」

「じゃこの指輪の石の方が沢山着いてるね」

「小さい石を七つ着けて貰ったんだ、お守りみたいなもんだペンダントと同じ石の他に4個頼んだ

厄除けも兼ねてな」と岩城は悪戯ボック笑う。

「ええ〜厄除け?・・・俺男だよ・・・前厄にしても・・・・早いよ岩城さん!」

「怒るな香藤、厄除けは冗談だ!七色の物を身につけて居ると好いそうだから」

「もうーー岩城さん・・・サンストーンとムーンストーンて俺と岩城さんみたいだね」

「ああ、太陽と月・・・か、そんな心算ではなかったんだけど・・・お前の誕生石は其の三つと後は琥珀と
ダイヤモンド、タイガーアイ、アクワマリーンは海のスポーツが好きなお前に似合うかと想った
・・・それから・・・あ・・・あい!」
と云う岩城の口を香藤の掌が塞ぐ、総ては岩城が香藤をイメージをして選んだのである。

其れを聞いた香藤の顔は真剣になり岩城を熱い眼差しで射抜きながら岩城に言い切った。

「其の言葉は今夜ベッドの中で聞かせて」と甘い声で囁く香藤に岩城は

石篭められた岩城の想いが嬉しくって堪らないのである。

「ねえ、岩城さん…俺もう・・・我慢出来ないから・・・上に行こう」と立ち上がり岩城の腕を掴んで立たした。

「もう、お前は・・・少しは・・・・時間を楽しむ事を知らないのか?」

「知ってるよ! だからベッドの中で時間を楽しむのです。俺は岩城さんとね。」



此処からは
18禁です。





窓には朝では無い事を知らせる光がカーテンの隙間から差し込んでいた。

気だるげに髪の毛を掻き揚げながら裸の香藤が起き出した。

隣にで眠っている岩城の顔は枕に半分隠れているが、頬に幾筋のも涙の跡が附いている。

昨夜の激しさを物語る。

香藤はそっと艶やかな黒髪に触れ、前髪を掻き揚げる香藤は満足顔である。



一頻り岩城の寝顔を見ていた香藤が、ぞもぞしだした岩城に話しかけた。

「明日も確か岩城さん休みだから・・・今度はゆっくり過ごそうね」

岩城は寝惚け眼で聞いていた。






完全に目覚めた岩城は香藤に云った言葉に香藤は・・・

「お前も今日で31歳だな・・・おめでとう」

「なに?岩城さん其の言い方・・・・でも・・・確りします」

「あはは」




    200/06/08

 ぎりぎり間に合いましたv。もう・・・ふーーです。

一度に2本のSSは草臥れました。(爆)唯今の時刻は6/9のAM2:30です。


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