俺の・・・秘密の場所へ・・・

「ねえ、岩城さん・・・今日仕事何時頃終わる?・・・・」

「ん?・・・」

朝、仕事に出かける岩城を玄関先で捕まえて、香藤が岩城に尋ねた。

「だから、今日の し・ご・と・何時頃終わるのって聞いたんだけど・・・」

同じ仕事をしている香藤も判っているが思うがつい聞いてしまう。

この仕事は確実に何時に終わると限っていないから、其れでも聞いてしまう。

「多分・・・・予定では午後6時頃には上がれるはずだが・・・・
何か或るのか?香藤・・・」

「んう、ちょっとね。 
俺岩城さんを其の時間に控え室まで迎えに行くから待っててね」

「何で、控え室まで来るんだ?・・・
駐車場で良いだろ」

「まあ、良いから、良いから、岩城さんは兎に角、其処で待っててね」

香藤は片目を瞑りウインクをして、岩城の雷が落ちないうちにと香藤も

仕事に出かけた。






☆☆☆☆☆―



香藤に連れられやって来たのは車で数時間で着いた所は。

広い田園地帯を過ぎて舗装された路から砂利道に変わり暫くすると、

車のライトをスモールに換えた香藤に岩城は、

「暗くって先が見難いだろう 大丈夫か?」

「うん、大丈夫、ゆっくり運転するからね、もう少しだよ」

車から降りると、小さな光が飛び交い、点滅を繰り返している。




岩城は数時間前に香藤に無理やり着替えさせれた事がやっと結びっいた。

岩城は香藤が控え室まで来た意味が。

岩城の控え室で仕事が一足早く終わった香藤が大きな袋を持って、

早く、岩城さんこれに着替えてと手渡されたのは、浴衣だった。

紺地に白の縦じまの浴衣と黒の帯である。

『こんなの着て何処に行くんだ』と云う岩城に香藤は

『いいから、それより、早く早く着替えてね』と催促する香藤に

『お前は着ないのか』。

『俺のも有るから着せてね』と強請る香藤だった。





「此処から足元悪いから、俺の手を離さないでね」

「ああ、しかし、こんな所、良く知っていたなぁ」

感心する岩城の手をとり香藤は土手を下る。

「うん、岩城さんを此処に案内したかったんだ」


夜露に濡れた草草に蛍が隠れた蛍がふたりが近づくと

音も無く一斉に飛び立つ。黄色く発光してい飛び交う。

近くの竹林の中でも無数に光っている。


☆☆☆☆☆―


ふたりは寄り添いながら言葉も無く、蛍の乱舞に魅入っていた。

優しい時間がふたりの間に流れ日頃の疲れを癒してくれる一時。



「ねえ、岩城さん綺麗でしょう」

「ああ、綺麗だ・・・・処で香藤蛍の種類知っているか?」

「えっ、蛍の種類?」

「お前も知ってると想うぞ・・・学校で習ったはずだから、覚えてるか?」

悪戯ぽっく聞く岩城である。

「ええ〜、蛍・・・・確かゲンジ蛍と・・・・他にもあったよね岩城さん」

「うん、幾種類かあるが、代表的なのは、お前の言ったゲンジ蛍とヘイケ蛍に
ヒメ蛍だ。他にもあるがクロマ蛍、何て有るらしいぞ」

「ふん〜」

香藤の関心が有るのか無いのか気の抜けて返事に岩城は香藤らしいと想った。




☆☆☆☆☆―



「ねえ、岩城さん、こちに立ってみて」

「何なんだ?香藤・・・」

「いいから、いいから、こっちね」

川を背に立たせて香藤はシャメを撮りだす。

「香藤・・・これが目的だったのか?」と香藤を睨む岩城である。

「別に良いじゃん、ねえ〜岩城さんの着物姿と蛍て似合うと想ったから・・・」

「俺は此処の着て嬉しかったし、気分転換も出来てと良かったと
感じていたのに、お前は・・・」


「ねえねえ、岩城さん、今度は竹林の方で撮らせてね」

「たっく・・・・」

返ってどっと疲れた岩城の顔も香藤には嬉しいのであるそれを別のカメラで写す。



☆☆☆☆☆―


「もう良いだろう、香藤、帰ろ」

「えっ、」

香藤が気の済むまで撮らせていたら帰る時間が益々遅くなってくるので

岩城もいい加減うんざりして来ていたのだった。

「此れに写した写真パネルにしても良いよね」

カメラをぶら提げながら岩城に聞くが岩城も嫌だと云っても無理な事は

判っているが、一応香藤に釘を刺す。

「その、出来上がった写真の前でにゃけた顔をするなよ」

「何で?俺の好きな岩城さんを見てにゃけない方がおかしいよ」

「お前がバカに見えるからな」

「また、そうゆう事を云うー!、意地悪だね、岩城さん!」

「・・・・」

「帰ろっか、岩城さん」

香藤の差し伸べた手を繋ぎ降りてきた土手を手を繋ぎ登って行く。




☆☆☆☆☆―おわり―☆☆☆☆☆



2006/6/11

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