秋の味覚
「きのこのコ元気なコ〜♪今夜のお夕飯〜きのこ尽くしだよ〜♪」と、香藤はキッチンで岩城のための食事作りに勤しんでいる。 香藤はクイズ番組で獲得した秋の味覚きのこと栗を山盛りにゲットしのだった。 (椎茸とまったけはグリルで焼いてと・・・えのきは湯がいて大根おろしで土佐酢で・・・)色々と考えているようだ。 鼻歌も軽快に出てきてメインのまったけを手に香藤はまた「♪きのこのコ元気なコ♪〜この、まったけも良いけど俺のまったけも立派なモノだ〜 岩城さん何時も喜んで・・・美味しそうに食べてくれるから〜♪」となにやら怪しげな調子で歌い続けている。 香藤が夢中でキッチンを動き回って次々に料理を作りあげていく。 繰り返し歌う香藤の怪しい歌がリビングに響く。 「きのこのコ元気なコまつたけ茶碗蒸し〜♪形のいいまったけは焼きまったけにまったけご飯炊きましょう〜 俺のまったけも大きいから 岩城さん、喜んで・・下のお口で」 「ごっっん」と鈍い音が響た。 声も出ないで香藤は頭を抱えて其の場にしゃがみこんだ。 一瞬何が起こったのか理解出来なくって・・・涙目で上を向くと・・・黒い瞳に宿る氷点下で総てのモノが凍りつきそうな眼差降り注がれている。 そして地の底を這うような低い声で「か・と・う・・・恥ずかしい変な歌を歌うな!」と云う岩城の米神にはきっちりと青筋が浮かんでいる。 が、そんな事でメゲナイ香藤は愛しい恋人に「ずかしい変な歌を歌うなって・・・言ってもね〜・・・」と言い掛けると岩城がまた鉄拳を振りか出すと、 素早く体制を整えた香藤は逃げを打つ。 ☆ー☆ー☆ー なんだかんだと言いながら、やっと食事に有り付いたふたりはテーブルに仲良く向かい合って座る。 「こんなに沢山のきのこ如何したんだ?」とテーブルに並んだ、きのこ尽くしの料理に岩城は香藤に尋ねた。 「あのね、来週放送される番組のクイズ番組に出たんだ。で俺が・・・俺達が優勝したんだ」 「ああ、俺達って?・・・誰と一緒だったんだ」 「小野塚だよ」 「小野塚くん?・・・」 「そうだよ。小野塚と組む事に成ったんだ・・・TV番組の番宣伝を兼ねてね。 今度、新しく始まる番組で小野塚と一緒なんだ」 「で、お前達が優勝したんだな・・・小野塚くんがかなり頑張ったんだろう?」 「もう〜〜ひどい!・・岩城さん! そんな言い方ないでしょう」 「すまん!すまん」と笑う岩城に香藤は頬を膨らませていると岩城は右の人指し指で右頬をつんつんと突く。 「俺だって・・・頑張ったもん!」 判った、判ったから・・・機嫌直せなっ!香藤」 拗ねた香藤も可愛いと思いながら岩城が温かいスープのカップにを手にして香藤の前に差し出した。 「ほら、冷めるから・・・早く食べような」 「うん、」 「頂きます」とふたり手を合わせて、きのこのスープに手を伸ばした岩城と、 香藤がこれも自信作だから食べてねと岩城の前に小皿に取り分けたきのことミンチの重ね焼きを勧めた。 「一番美味しい、きのこを堪能出来るのはこの時期だけだね」 「そうだな。今は何時でもきのこが食べられるが、この椎茸も秋コと春コが在るが・・・・」 「秋コ?春コ?って何?」 「香藤、知らなかったのか?あのな、椎茸の菌を植えるクヌギの木やしいの木を60cmから1m.位に切ったボタギに 椎茸の菌を植え付けて置くんだ。春に出る椎茸を春コと言い、秋に出るのが秋コなんだぞ。 植える菌にも色々有るらしいがな・・・気温も関係あるから・・・でもな、香藤、菌を木に植えつけても直ぐには出ないんだ。 2〜3年かかるらしいからな」 「へー2〜3年掛るんだ」 等と色んな会話を楽しみながら、香藤の心尽くしの料理を時間を掛けて味わう。 時間を掛けた食事も済んで、手早く後片付けをしてリビングで仲良くソファーに腰掛けて、食後の紅茶を飲んでいる。 香藤はテレビのリモコンであちらこちらへとチャンネルを弄っている。 「香藤、今何処にチャンネルを廻してもCMばかりだぞ!」 「うん、分っている・・・岩城さんの新しいCMそろそろオンエアーかなと思ってね」 「俺のCM?・・・ああ、ビールのCMか?」 「うん。とっても綺麗なんだもん!ビールのCMって大概男ポイでしょうでも今回のCM言い感じだよ」 「そうだな・・・この前のCMはベテラン俳優でクルーザでカジキマグロを釣上げているシーンだったよな」 「夕焼けに染まった海にと上手く逆光を活かした風景に負けない感じの逞背中の背筋だったよ!」 「お前の背筋もカッコいいぞ・・・」と呟いた岩城に香藤はニッと笑い「俺の背筋カッコいい?」と聞き返すと岩城はすっと立ち上がり一言 「風呂に入る」 頬を薄く染まった岩城は顔を見られたくなくってお風呂逃げ込もうとする岩城の腕を捕まえて、 「え〜〜!何で・・・もう直ぐドラマが始まるじゃん!一緒に見ようよね・・・」 「お前1人で見ろ!・・・俺は・・・」 「じゃ、俺も風呂に入るね。そして・・・岩城さんに美味しいモノ後で食べさせてあげるね」 「美味しいモノ?」 「うん、美味しいモノね・・・下のお口に・・・」 パッと逃げながら直も香藤は懲りもしないで「嫌いじゃないでしょう?」 「ばか・・・お前は・・もう、知らん!」 「怒んないでよ〜〜岩城さん!」 真っ赤になった岩城の顔とにんまり顔の香藤、今夜はさどかし賑やかな夜が続きそうだ。 この後ふたりは美味しく頂いた人と頂かされた人は満腹になった事でしょうね。 このSSは某サイト様の秋企画に投稿しようかと迷ったSSです。 途中で煮詰まり・・・放置状態が続き・・・・結局、投稿出来なかったのです。 余りにも幼稚なSSなので・・・(泣) 読んで頂き有難う御座いました。<(_ _)> 11/30 BACK |