CM

今年も、恒例の、夏を海外で過す為の企画が某テレビ局とスポンサー旅行会社等で進められた。 

放映時間は2時間半スペシャル  (要は旅行者獲得合戦だ)


岩城の忙しい仕事の合間を縫っての企画であった。

今人気中の岩城に白矢の矢が発ったのだった、映画撮影とテレビドラマ撮影の間の数日間のオフを狙った。

この企画に抜擢したのは某旅行会社と某有名化粧品メーカーからの誘いだった。

時間が少ない岩城が出掛けられる国外はアジアであった。

そう、春まだ浅い時期の旅行であった。





放映されたのは7月の始めだった。




香藤は、自宅のリビングで岩城の帰りを待ちながら寛いで居る、夜9時過ぎ何気につけたテレビに、

「今年の外国旅行は一味違う・旅行なれした人でも、もう一度行きたくなる」とうたい文句が付いてテロップが流れる。

男優と女優達数人が丸いテーブルに座って、其れどれの外国のリゾート地を紹介しているシーンが流れている。

司会者とアシスタントで、テンポの良い進行で進んで行く、各担当の番になるとその女優や男優の顔がアップになる。

カナダでのフィシングや何処かの国の秘境地、フランスの五つ星ホテルでも格式高い最高級ホテルの案内と活用の仕方や

〇〇〇国で本格痩身エステやフランス、ドイツでの穴場等が紹介された。


香藤は暢気にビールを飲みながらテレビを観ている。

(俺も、ビックウェーブの来る海でサーフィンしたいなーぁ、岩城さんとふたりで、

何処かでゆっくりと過したい)等と思い描く香藤である。

CMの間に冷蔵庫から2本めのビールを持って着て半分、

自棄酒の様に香藤はごくごくと喉を鳴らし半分位飲んでプッハーァと息を吐いた。










「次はアジアを廻った方達が案内してくれます」

ゆっくりと、カメラが次に案内する俳優の顔を写した、其処には、岩城の顔が画面いっぱいに映し出された。

スタジオの中の岩城は、渋めのスーツを着ている。

其れを観た香藤はソファーから擦り落ちそうになり、思わず大きな声が出た。

「い・・・岩城さん!  俺、聞いていないよーおぉーーーょ」


旅行、初日の岩城のスタイルは、淡いブルーのコトンシャツに紺地のコットンのツータック入りのスラックスと青系で纏めている。

有名女優は、白のシルクブラウス同じシルク糸で左肩に大きな薔薇の刺繍がされている。

で胸元が大きく開いている、浅葱色のフレアースカートに太目のベルトは目立つバックルは鷹のデザインである。


岩城と有名女優が腕を組んで町並みや、海岸を歩く姿を写して行く、

楽しそうな笑い声や話し声がマイクが拾いスピーカーから流れる。

一頻り歩いた岩城達が、お洒落なお店のカウンターで飲み物を頼むのに、有名女優が岩城と相談している。

「岩城君はどれにするの?・・・こんなに沢山のフレッシュな果物ジュース・・・迷うわね」

困った顔で岩城に訪ねている女優の顔は何処か嬉しそうな感じがしているが、

全くそんな気配を感じていない岩城は訪ねられた事に素直に返事をしている。

「えぇ、ホンとに・・・迷います」と丁寧な言葉使いをしている、散々迷った挙句に選んだのは、ふたりは、

パインとりんごのミックスとマンゴージュースであった。

それを、スタジオの中の人達から「何で、りんごとパインジュースなの」とツコみが出ると岩城は、

「ええ、何かね・・・沢山有りすぎて」と答えていた。

司会者が「もしかして、有名女優さんと一緒だったら、上がったのでは?、

有名女優さんと岩城さんの共演した、お仕事は無かったですよね。」

振られた岩城は卒なく応えた「はい、そうです」と云った時スタジオ内で、

「私も岩城さんと行きたかったなーぁ。今度こんな機会が有れば私と旅行して下さいね」と若手女優も云う。

其の若手女優と一緒だったベテラン男優は「俺と一緒だったのがダメなのか?」とおどけて見せる仕種に笑いが溢れた。




沈み掛けた夕陽に照らされた、デッキテラスで岩城達が浜辺を眺めながら、

テーブルと向かい合わせで椅子に腰掛けて、先ほどのジュースを飲んでいる。

カメラが岩城達の後姿をかなり引いて、沈んでいく太陽をカメラに捉えてた。

そして、夕日を浴びてキラキラ光る岩城の黒髪を気ままな風がさらさらと撫ぜていく。

彼女も椅子から立ち上がり、こんな綺麗な夕日に融けるように佇んでいる岩城の後姿が本当に一枚の綺麗な絵の様だ。

彼女は其処に自然な形で入っていき、流石、有名だけではない長年のキャリアの積み重ねがモノをいう本当に嫌味の無い、

自然に恋人かと思う様な感じで岩城の後ろに立つと、タイミングを計って居る様な彼女の横顔見えた。

岩城は少し伸びた髪を手で掻きあげる仕種をしている所に女優の手が岩城の右肩に伸ばされ、

岩城の肩に頭をこつんと載せた。

それは、映画やテレビドラマのワンジーンの様だ。

其れを観て香藤は「離れろ、岩城さんは俺のモノなんだから・・・うぅぅ」と威嚇している。

こんな姿を岩城が見たら呆れかえってきっと『バカ』と云われると思う香藤だが、

いかせん岩城の事と成ると、例えドラマだろうが何だろうと嫌なのだ。  香藤も判っている。   が・・・・・。

役者なのだから演技だと・・・・・でも・・・・・・・ドラマや映画と違いうから何が起こるかハラハラの香藤である。

ソファーに寄りかかっていたはずの、香藤はフローリングのク床に座り込んでクッションを抱き抱えてた。

そして、じりじりと無意識にテレビに近寄っていた。






テレビの画面が替わり、其処に映ったのは大きなシャンデリアが幾つも配置された高級感溢れるレストランだった。

ドレスアップした紳士淑女達、優雅に食事をしながら、ゆったりと大人の時間を楽しんでいる。

ワイングラスの触れる音と食器に触れる音、控えめに流れる音楽。

窓際に面した場所で、岩城と女優がドレスアップして楽しげな会話をしていた。

ワインレッドのシルクドレス、彼女に豊かな胸を強調する様に胸元に大胆なカットされてる、

ウエストにはシルバーの細いチェーンが捲かれてる。

岩城は有名ブランドの濃紺のダブルスーツと淡いブルーのシャツネクタイもブルー系で纏めている。

大きな窓を開け放し、束ねられた白いレースのカーテンの裾が夜風に揺らめいてた、其のシーンは5分程だった。










そして、翌日、隠れ家的な落ち着いたエステサロンで、本格派のインドエステを受けていた。

そこで、アシスタントがインドエステに付いて簡単な説明をした。

「インドエステは体内の毒素排泄と、リンパの流れを良くして、便秘の改善、むくみ等を改善ができるそうです」

言い終わったらカメラがエステを受けている場面に移ると、どん、と岩城の背中が映そだされた。

痩身を受けるベッドに白いパイルシーツの上で顔を横向けてカメラに目線を向けたいた。

すると「此方の男性の肌がとても滑らかで、肌が、肌理細やかですね・・・肌の色も白いですね。

「何かされているのですか?」と痩身を行なうエステジャンが訊いていると通訳の人が岩城に伝えられた。

岩城は「別に何もしていませんが・・・」と云っている。

こちら、香藤の居るリビングで、岩城の背中アップで手に持っていた缶ビールを握り締め、

グシャと潰した少し残っていたビールが零れ香藤の膝を濡らした。

Gパンが濡れたのも気付かず、大きな口を開けて、まるで金魚の様にパクパク動かしてる、

声は喉の奥に引っかかって、出て来ないらしい。

1分が過ぎてやっと声が出た香藤は悲鳴を上げた。

「うわあぁぁぁーーーーーっ!」と大声を出して膝立ちでテレビを端に両手で掴んでテレビを揺する。

「?何で・・・岩城さん・・・なの・・・」と呟きそしてぶつぶつ文句をテレビに向って云っている。

「あの位、人に肌見せたらダメだて云ったのに・・・うぅぅ・・俺の岩城さんだもん!・・・・肌が綺麗なのは、

・・・・・・俺が、何時も何時も・・・岩城さんを愛してあげるから・・・・・・丁寧に・・・時間を・・・かけて・・・・・・・・・・・俺のモノなのにーーー!」

と叫んで居る処に岩城が帰って着たのである。

そして、地の底を這うような声で、

「何が俺のモノだ?・・・丁寧? か・と・う・・・」

「?ー・・・ほへーーーぁぁ・・・あのう・・・い、いつ帰ってきたの?」

テレビを抱き抱えたまま顔だけ、リビングの入口に目線を向けた香藤に岩城は、

「何やってんだ?・・・テレビ抱えて、大声で?・・・何にか有るのか?」

岩城のドスの効いた声で香藤は引き攣り笑いで誤魔化すが、背中につうーと冷やさせが流れた。

岩城にはテレビからの流れる声だけしか聞えない、画面は香藤の胸に隠れているから。

「其処をどけ・・・香藤!」

「嫌だ!」

「一体何を独り騒いでいたのだ?」と云いながら香藤に近づきテレビから引き剥がそうと香藤の肩を掴んだ。

するとテレビから「今回、岩城くんと一緒に痩身エステをしてもらったんだけど・・・

ほんとうに、岩城君の肌綺麗だったので驚いたわ」と聞えてきた。

すると、岩城は急に香藤の肩から手を外して香藤の脇腹から岩城の長い指が滑り込んでテレビのスイッチを押した。

「わあ、何で、スイッチを押すの?気になるじゃん!」

「別に見なくってもいいだろう?・・・・俺の背中なんて・・・何時も見慣れているだろう・・・お前は!」

岩城の剣の有る声に段々と俯く香藤であった。

「・・・・・・・・・・」

「生の俺と画面の俺と・・・どっちが好いんだ! 香藤」

「それは・・・勿論、俺の前にいる岩城さんだけど・・・・」

「だけど、・・・・他にまだ文句が有るのか?・・・」

睨む岩城に対して俯いた、ままで上目づかいで岩城の目線と勝ちあうが、

それに、負けないぐらいに香藤は拳に力を入れて、岩城に甘えた声で言った。

「文句ありません、から・・・テレビつけてもいい」

「全く・・・・お前は・・・今更つけても、俺たちの出番は終わっているど・・・多分」

「えええー! 岩城さんが・・・邪魔するから・・・見れなかったじゃん! 如何してくれるの?  い・わ・き・さ・ん!」

「香藤!・・・今言った事忘れたのか?・・・」

「忘れていないよ・・・でも・・・最後まで見たかったんだもん!」

「もう、勝手にしろ・・・俺は風呂に入る!」

岩城は段々頭が痛くなってきた様に感じたのである。

「岩城さん、風呂はいるの?・・・俺も一緒に入る!」

「ダメだ! 断る。 」

「何で? 別にいいじゃんか  ねえ 」

「嫌だ! 入って来るなよ」と云いながらリビングを出て行く岩城である。

「ちぇっ、けち」と岩城の背中に小さな声で云った。




岩城が風呂に入っている間に香藤は携帯を取り出し、メールを打った。

「これで、よし、とふぅぅ」

にんまり笑う香藤の顔が何かを企んだのは間違いない。






それから数日後、香藤は某テレ局の片隅で、プロデューサーの高谷さんから四角い箱が渡された。

香藤は嬉しそうな顔をして礼を言う。

「有難う御座います。岩城さんには内緒にして下さい、お願いします」

プロデューサーの高谷さんも片目を閉じて悪戯ポック云う

「分かったよ、今度、奢れよ」

プロデューサーの高谷さんは、てを振りながら踵を返して行った。

香藤は其の後姿にもう一度、丁寧に頭を下げながら礼を言う。

「はい、今度、時間の空いた時、声を、お掛けします」

香藤は手にした箱を大事に胸に抱えて、自分の控え室に向う。








自宅に戻った香藤は階段を駆け上がり、自分の部屋に入って、鞄から大切に取り出した箱をに、チューとkissをして、

机の鍵のかかる引き出しに仕舞う。

香藤は岩城が風呂に入っている間にプロデューサーの高谷さんにメールをして、頼んでいたのである。

それも、岩城がテレビで放映された場面をだけを編集して貰ったのだ。

そして、テレビに映らなかった場面も入れて貰ったのである。

抜かりの無い香藤である、流石、岩城に関しては何でも知って置きたい香藤だから、

頼まれれば嫌と云えない、番組スタッフ達であった。

あの、人懐こい顔で頼まれたら、断れないのだ。

香藤も早く見たいのだが、今日は早く帰ると云っていた岩城だから、この前の様に見つかると嫌なので、

我慢をするしかないのだ。










はぁ、一体私は何を書きたかったんだろうか?・・・
岩城ともめて香藤は俺が岩城さんの専属美容師だらら俺がマッサージしてあげる、等といいながら・・Hに持っていく心算でしたが
何処で間違えたのかな?
隠したDVDを見ていた香藤が矢張り岩城に見つかってと第二段に持ち込んでも・・・と思うが・・・
何分、下手くそだから・・・気が向けば次の作品で頑張ります。


2006/07/11

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